難思の弘誓は難度の海を度する大船、 無碍の光明は無明の闇を破する慧日なり。  (教行信証総序)
親鸞聖人は人間の生を「難度海」(渡りがたい海)と表現しています。
このことばは、どこまで行っても岸にたどり着けない果てしない海や、
激しい嵐に襲われた荒海を想い起させます。
確かに人は苦しみのただ中にある時、
いつまでもこの苦しみは消えないのではないかと不安になります。
また、あまりに激しい苦痛は、生きる力を奪いとってしまうことさえあるかもしれません。
親鸞聖人もまた様々な戦乱や飢饉に遭遇し、
そのような出来事に翻弄されながら生きざるをえませんでした。
人生を「難度海」と書きとどめた親鸞聖人は、
そのような事柄を身近に経験し自分の体験として重ねる中で

真摯に人間のあり方、自己の生き方を見つめていたのです。